クズの本懐は人間の奥底を暴き出す

1巻
横槍メンゴさんが描く歪んだ純愛漫画です。
誰もがうらやむ、品行方正な美男美女カップル、安楽岡花火と粟屋麦には、誰にも言えない秘密があります。
それは、お互い別に好きな人が居るということ・・・似たもの同士の二人はお互いを好きにならないこと、どちらかの恋が実ったら別れること、お互いの身体的欲求はどんなときでも受け入れることを条件に付き合う振りをしているということです。
タイトルほどクズ感はありませんので、そういうのを求めて買ってしまうとあれ?と思うかもしれませんが、3巻まで辛抱していただけるとお好みの展開が期待できると思います。ピュアな純愛物語というわけではないので主人公たちに好感が持てるかどうかといわれるとそこも難しいところではあると思います。
しかし、心理描写は深く、絵は繊細で綺麗ですので、一風変わった物語をお求めの方にはお勧めだと思います。


2巻
独特の感性で描かれているため、好みが分かれる作品です。
その先の幸せを求めたいけれど、不幸が待っているかもしれない、少なくとも何もしなければ現状維持はできるのだから・・・という葛藤が今後、どのような展開になっていくのかが見所です。
この巻では、花火をはじめヒロインたちが報われない思いに苦悩する姿が多く描かれています。
台詞がなくても、キャラクターの表情から心情が伝わってくる点など、やはり横槍さんの絵は良いなと再度実感しました。
ヒロインたちの心情が深く描かれている点とは対照的に、ヒーロー?である麦の描写はかなり淡白に描かれています。特に悩む描写も無く、やることだけやって姿に苛立ちを感じますが、この作品のタイトルを思い出してみると・・・そう考えると、こうなるのもアリなのかなとも思います。

3巻
転機の巻です。
タイトル負けといわれていたこの作品ですが、ついに本気を出しました。
3巻では、この人は間違いなく「クズ」であるという人物が登場してきます。
「興味のない人から向けられる好意ほど気持ち悪いものはない」という台詞があらわしている花火の価値観ですが、その価値観がそのまま花火本人に跳ね返ってきます。そんな中、花火は「自分の目的をかなえるために、どんな風にでも変わってやる」という決意を抱きます。しかし、そのときの表情は晴れやかとは無縁の仄暗い歪みを感じさせます。
3巻を読んでヌルイという人は少ないのではないかと思います。キャラクターの歪みが徐々に出てきたこの作品、今後の展開はいったいどうなってしまうのか、心配で気になります。


4巻
今回、もう一人の主人公、麦にスポットが当たります。3巻で「くず」の風格を余すことなく披露した茜の真実を知ってなお、というより、知ったからこそ茜を好きになったというエピソードは、なんだかもう手の施しようがない末期の状態で絶望感を感じます。
一方、花火は利用してしまった絵鳩の好意を利用してしまったことに罪悪感を覚え、絵鳩を遠ざけようとします。
それぞれのキャラクターの裏の顔が明らかにされ、愛憎模様が複雑化してきたこの作品、まだ真相が明らかにされていないキャラクターの裏に隠された真実が気になります。
本当に、どうなってしまうのか、少なくとも、普通の展開は望めないと思っていますが、個人的に願わくは、絵鳩こと「えっちゃん」が歪みません様にと祈るばかりです。